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秋葉原通り魔事件

事件の第一報を聞いたのは大阪の同人誌即売会にサークル参加していた時だった。

一瞬信じられなかった。テレビは観られなかったものの、ネット上ではあっという間にこのニュースは駆け巡った。

新聞はと言うと、日曜日なので夕刊はない上、生憎事件が起こった8日は新聞休刊日だったので翌朝の朝刊発行はスポーツ紙の「即売特別版」を除きなし。一般紙に載ったのは9日月曜日の夕刊か翌々日10日火曜日の朝刊だった。

ネットやテレビニュースは速報性を競ったが、新聞は発行まで十分時間があるのでどれだけ事件を掘り下げた報道が出来るか期待している。

秋葉原は私が社会人になって最初に勤めた場所(但し昭和通り側)である。当時は今のような観光地やサブカルの発信地と言うよりはコンピューターマニアが集う、何処となく「一見さんお断り」の雰囲気を持っていた。同人ショップは昭和通り側に「D-カルト」と1994年に開店した「とらのあな」があったのみ。アニメイトもゲーマーズも未だ出店していなかった。(アニメイトの初出店は1999年に昭和通り側、ゲーマーズの初出店は1999年に末広町近くで屋上看板から「でじこビル」と呼ばれていた。)

その後転職してからヲタク化が進行していた私は最早秋葉原とは縁が切れなくなった。その秋葉原で白昼堂々と無差別殺人が起こってしまった。

「許せない」、「犯人に死を」と言う感情的な意見があちこちから出ているようである。

言うまでもなく今回犠牲になった無辜の7人に対し衷心から哀悼の意を表する。

しかし、今回の事件は犯人が死刑になってそれで解決するものであろうか?

犯人が死刑になり刑場の露と消えたとしても遺族の気持ちが晴れる訳でもなく、傷痕は何時までも残る事であろう。そしてその気持ちを癒す事が出来るものは人智では不可能であると思う。私が考えるにそれは「時間」である。なので遺族に次々とマイクを向け傷痕に塩を塗るような行為はマスコミは自粛して欲しい。

後、25歳の派遣社員にこのような凶行を起こさしめた背景も考えないといけないだろう。
勿論私はこの凶行を弁護する気はない。しかし現代日本社会の病理の一端を表しているのではないか、と思う。

容疑者は青森県出身であると言う。しかし社会人になった後派遣社員と言う不安定な身分で真面目に仕事をこなしても安定した職に就けるか分からないと言う不安を抱えていたのではないか、とも考えられる。

青森県は有効求人倍数が下から数えた方が早い位求人が少なく、就職しても平均賃金全国46位と言う状況で働かなければならない。ここに以前は存在しなかった都会と地方の大きな格差を感じ、地元で就職出来ず派遣社員として「出稼ぎ」で仕事をせざるを得ないと言う不条理も感じる。

「職を選ばなければ仕事はある筈だ」と言う論者もいる。しかし容疑者は自動車整備工養成をする短大と言う専門的な学歴を持っている。折角の専門的技術を地元で生かせず、自動車工場で派遣社員と言う「工場のネジ」と言う立場でしか生かせなかった無念な気持ちを想像してみるといい。「工場の歯車」はなくなれば動かなくなるが、ネジ1本なくなっても工場と言う機械は動くものである。

そして同じ職場で同じ仕事をしていても正社員、直接雇用のパート社員、派遣社員、業務請負社員と幾つもの階層に分かれ、給与も待遇も全く異なり、中には違法な雇用体型さえ横行していると言う事も又、疑問を感じないのは如何なものか。

そして、現場で被害者が断末魔の叫びを上げている中、周囲を取り囲み携帯で写真を撮ったりメールを打ったりしている人々の無気力・無関心さ、かつて魯迅が医学から文学に転向するきっかけになった仙台医学学校で見せられた映像を連想させる。

この事件を加害者が死刑になる事で終わらせてはならない。

寧ろこれを機会に現代日本社会が抱える病理について考えないといけないのでは、と思う。

何故ならこの社会構造が続く限り、幾ら警備を厳しくしても、幾ら死刑を次々と執行しても、7年前に大阪・池田で起こったように何処でも誰にでも起こり得るのだから。

即ち、例え正社員でも公務員になっても何かのはずみで失職しかねない薄氷を踏む環境下、「絶対」の安全は存在しない。容疑者のような心境になる事は、誰でもあり得る世の中である、と言う事を認識して、どうすれば改善するか、考えないといけないのではないか。

…うまくまとまっただろうか。

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